大会長挨拶

 第44回日本保健医療社会学会大会を、2018年5月19日(土)、20日(日)に星槎大学・星槎道都大学にて開催させていただくにあたり、ご挨拶を申し上げます。

 本大会のテーマは、「ヘルス・ガバナンスの可能性」です。ヘルス・ガバナンスとは、保健医療に関わるすべての人が参画し、十分に話し合うことによって健康における共通の目標を持ち、それに向かって協働していくこととひとまず定義したいと思います。保健医療社会学はこうした営みを捉えることができ、Sociology of Medicine とSociology in Medicine、理論社会学と応用社会学という立場を超えて、現場と理論を往復し、止揚した形で展開することができると考えられます。

 ただしこれは、二重に困難を伴います。まず医療専門職と患者の間には様々な隔たりがあり、医療専門職の間にも非対称的な関係性が指摘されており、熟議により目標設定を行う事は一部に限られているのが現状です。また、現場に寄り添おうとすれば客観性が失われ、理論的であろうとすると現場から離れていきがちです。ルネ・フォックスは、医療専門職が患者と情緒的・道徳的・心情的に近づきすぎることから生じる弊害を避けるために、Detached Concern(距離をおいた関わり合い方)を獲得することを示しました。そして、この距離は遠すぎても近すぎても駄目ですが、どのくらいの距離がいいかということは、いまだ十分な議論がされていないといいました。保健医療社会学と現場との距離も同じかも知れません。

 現場に寄り添いつつ適切な距離をとることで保健医療の問題が明らかになり、複数の立場の関係者が問題を共有して熟議する現場の広がりは問題解決を促します。この総体を捉えようとするのが保健医療社会学で、社会学の名を冠しつつ、社会学以外を主たる専門とする研究者や実践家や当事者にも開かれてきたこの学会の存在意義も、こうしたところにあるのでしょう。これを再確認し、更に発展していけるよう、本大会のテーマは設定されました。

 メインシンポジウムは、地域で活動する当事者や支援者や研究者の方々にご登壇いただき、ヘルス・ガバナンスの実際をご紹介いただきます。特別講演では、Stephanie Short氏にヘルス・ワークフォース・ガバナンスについてお話しいただきます。また今回は、本学会30周年記念の前年に当たるため、プレ記念シンポジウムも企画されています。さらに、日本医療・病院管理学会の月例研究会と共催するシンポジウムも設けられています。たくさんの方々のお力添えのお陰で本大会が開催の運びとなっていますことを、ここに厚く御礼申し上げます。

 今回は、本学会にとって初めての北海道での開催になります。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。北の大地へ、ようこそ!


第44回日本保健医療社会学会大会
大会長  細田 満和子
(星槎大学)


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